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激動のミャンマー・・政治・経済・司法の現状について|レポート|アジア企業経営研究会
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激動のミャンマー・・政治・経済・司法の現状について

講師:藤井啓一郎様−特定非営利活動法人(NPO)ミャンマー交流援護会 理事長
財団法人亜細亜友の会 理事

【面積】
約67万8,500km²あり、インドシナ半島最大の国土を有し、これは日本の約1.8倍に相当する(平野部の比較では日本の6倍ほどにもなる)。国土はインドシナ半島西部に位置し、北東は中華人民共和国、東はラオス、南東はタイ、西はバングラデシュ、北西はインドと、5つの国と国境を接し、西側の大半がベンガル湾に面している。国土は北から南に伸び、地図上で眺めるとドラゴンの形をしている。
【人口】
約6,200万人で、若年層が多い典型的なピラミッド型構造で、生産年齢人口割合がきわめて高いことが特徴である。中央乾燥地帯およびデルタ地帯の人口が総人口の約7割を占める。
【気候】
雨季(6月〜10月)・冬季(11月〜2月)・夏季(3月〜5月)の3シーズンに分けられる。日本に比べ気温差は少なく、北部山岳地帯を除き、25℃〜35℃の常夏の国である。冬季は涼しく25℃〜28℃であるが、同時期山岳地帯には降雪がある。
【首都】
ネピドーで、旧首都ヤンゴンから2006年10月に遷都。現在でも最大の都市はヤンゴンである。主要都市は、ネピドー、ヤンゴン、マンダレーの3都市。ヤンゴンには600万人、マンダレー(副都心)には120万人が居住する。
【元首】
ミャンマーは2011年3月に軍政から民政に移管し、軍事体制下首相であったテイン・セイン氏が軍籍を離れ、大統領に就任。任期は5年。
【政体】
大統領制、共和制
【民族】
構成は、ビルマ族が全体の7割を占め、その他、シャン族、カレン族、ラカイン族、華人、モン族、インド人など135の民族が国内に存在する。少数民族問題は複雑で、南東部のカレン州や北部のカチン州などで度々武力衝突が起きており、現在においても情勢は不安定である。少数民族の多くは山間部で生活しているが、山岳部のインフラは未整備で、開発から取り残され、都市部との経済格差は開く一方である。今後も多民族国家をまとめるため、政府と山岳地域の一部少数民族との対立は続くものとみられ、少数民族対策が今後の民主化を進めるうえでカギを握るとされる。
【宗教】
国民の85%が仏教徒(小乗仏教)である。その他に、キリスト教徒、イスラム教徒、ヒンドゥー教徒が数%ずつ存在する。宣教師の影響により山岳民族にはキリスト教徒が多い。
【言語】
公用語はビルマ語であるが、少数民族はそれぞれ独自の言語を持つ。外国人利用者が多いホテルなどでは勿論、全域で英語が通じる。北部や北東部では中国語、一部ではタイ語も通じる。
【産業】
中心となる産業は、農業関連、森林関連、繊維業など。第一次産業である農業部門への依存度は高く、GDPの3割強を占め、国民の半数が農業に従事する。
【経済成長】
GDP成長率は安定的に5%以上の水準を保ち、今後も持続的な成長が見込まれる。
【人心・安全】
概して安全で人心も良く、安心して暮らせる国柄である。各民族の多様な歴史的文化模様がその独自性を印象づけるが、仏教徒の多いミャンマー人は敬虔で穏やかな性格で、その質素な食生活、家族主義的国柄は、一昔前の慈愛に満ちた日本の家庭を想い起こさせる。またミャンマーはアジアでも1、2を争う親日国であり、市民は好意的な新日イメージを持つ。
【インフラ事情】
最大の問題は電力や道路などのインフラが充分整っていないことである。電力事情は劣悪で、電圧は安定せず。停電も多い。
【通貨】
単位は、チャットで、1チャットは約0.1円に相当。
【資源】
自給自足のできる、天然資源豊富な国である。ベンガル湾の海の幸・チベットに連なる山の幸に恵まれた豊かな自然、その大地に眠るルビー、ヒスイ、ダイヤモンド等の宝石、そして金・銀・銅・石炭・天然ガスを始めとする多種豊富な地下資源がある。ミャンマーは、最大都市ヤンゴンに偉容を示す今金色塔シュエダゴンパコダに象徴される"GOLDEN LAND"の名を冠するにふさわしい国である。
【観光】
仏教文化が育んだ数々の遺跡と美しい自然という豊かな観光資源に恵まれた国である。主な観光地は、ヤンゴン、マンダレー、バガン、インレー湖(ヘーホー)等。ミャンマーには歴史的な建造物が多く、特に仏教関係の遺跡群は世界的にも有名で、欧米・中国・東南アジア等から毎年多数の観光客が訪れる。なかでもミャンマー観光のハイライトは、バガンにある仏教遺跡群で、カンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのポロブドールと並ぶ世界3大仏教遺跡の1つに数えられ、広大な平原に広がる寺院とパコダ(仏塔)は世界最大規模とされる。インレー湖では、自然の草でできた浮島の上に住宅が建てられ、そこで原住民が生活を営んでいる。足漕き舟の試合は観光客に人気が高い。
【ビルマ王朝】
今から1,000年前、日本では仏教文化を独自の国風文化に昇華した平安中期の頃、ミャンマーではビルマ族による国家統合が進み、仏教文化・バガン王朝の出現をみる。その興隆の姿は、今日に残る仏塔(パゴダ)・バガン遺跡群であり(世界3大仏教遺跡)、今日のミャンマー連邦共和国の源流となっている。
【植民地支配〜現在】
19世紀後半に入ると、ビルマ王国にかわりイギリスによる植民地支配が始まる。20世紀中葉、アウンサンの指揮によりビルマ連邦として独立を果たす(1948年)が、ビルマ独立に功績のあったアウンサンはその前年に暗殺され、後継者が初代首相に就任。中国とインドという大国に挟まれ、隣国タイとの関係も微妙、かつ国内の少数民族による分離独立運動も頻発するなか、軍事政権による独裁体制が続いた。しかし、20世紀後半、アウンサンの長女であるアウンサン・スーチーを指導者とする民主化運動が台頭。しかしながら軍事政権による弾圧も続き、軍政主導政治を非難し政治の民主化を求める欧米から経済制裁を受けるなど半鎖国状態により経済が著しく停滞。2007年、民主化を求める大規模な反政府デモが勃発、これを受けてテイン・セインが新首相に就任し、政治体制の改革に着手。2008年新憲法に関する国民投票が実施・可決され、2010年11月7日新憲法に基づく総選挙が実施され、形式的に議会制民主主義へ移管。2011年1月31日ネピドーで総選挙後初の連邦議会が開かれ、3月30日テイン・セインはミャンマー大統領に就任した。アウンサン・スーチーは現在国内の民主化の一層の推進のため活動を続けているが、国民的人気は最高潮に達している。
【経済を取り巻く情勢】
2011年3月に軍政から民政への移管がなされ、国内の政治的事情も改善の動きが見られたことで、2011年秋から米国とミャンマー両政府間の急速な関係改善が進み、欧米日企業のミャンマー進出活動が活発化し、ASEAN諸国においてアジア最後の経済未開拓市場として今後の発展が最も期待される国の1つとなっている。
【海外諸国からの投資】
中国、タイ、インドなどの周辺諸国は自国の権益拡大を目的に、ミャンマーとの関係を強化しており、道路、港湾、発電所、天然ガス田などの開発に積極的に関与している。特に、中国資本の浸透力は強大で、マンダレーが買い占められ、ヤンゴンにも入ってきたことから、ミャンマーは中国の覇権を嫌って中国以外の国々に支援を仰ぐ戦略に出ている。最近ではアメリカ、EU、韓国、シンガポールも巨額の援助資金を提供してせめぎあいの様相を呈している。
【世界の企業からの投資】
現在、今後の事業展開の期待感の高まりから、世界中の企業がミャンマーの市場調査に乗り出しており、急増する「ミャンマー詣で」によりヤンゴン市内のホテルは世界中のビジネスマン(旅行客、視察団、経済団体ミッション団)で常に満室となっており、宿泊費も昨年よりほぼ2倍にはねあがっている。2003年の本格的な経済制裁強化以降、日本の投資実績は皆無に近かったが、民主化が進むミャンマーに対して日本の経済界も注目しており、多くの企業が進出に向けて動き始めている。1例として、ANAの12年ぶりのミャンマーへの定期便再開があげられるが、その他にも東証グループやSMBCに支援の動きが出ており、縫製業が伸びていることから大手アパレルメーカーが検討に入っているという情報もある。欧米の経済制裁解除や日本の25年ぶりの円借款再開の動きなど追い風も吹いており、成長する東南アジア市場での存在感を高めるためにも、「アジア最後のフロンティア」ミャンマーとの関係強化は今後日本企業にとって欠かせないものとなることは間違いない。
【インフラ】
最大の問題は電力や道路などのインフラが充分に整っていないことである。ミャンマーの発電設備容量の7割は水力であり、ダムの貯水量が減る乾季(11月〜5月)には慢性的な電力不足に陥る。道路については、近年ヤンゴンを中心に高速道路が整備されつつあり、道路事情が好転したことで目的地への所要時間が従来の半分以下となっている。ただし、高速道路、幹線道路から工業団地へ向かう道路などの整備が進んでおらず、空港、港湾および鉄道網など物流インフラに多くの課題を抱えている。さらにインターネットなどの通信インフラも不安定とインフラ面での不安は多々あるが、ミャンマー政府は外資系企業を呼び込むため環境整備に力を入れており、いずれも改善の方向にあり、今後整備が進むに伴い経済成長を押し上げていくものと期待される。
【市民生活】
市場には中国やタイの製品があふれており、また韓流ドラマ放映の影響もあり若者の間で韓流ファッションの人気が高い。中位年齢が若く、高い活力と消費につながっている。市内を走り回っている車の多くは日本の中古車である。不動産の高騰により、バブルで現金を得た富裕層が増えており、ヤンコンには大型ショッピングセンターが次々にオープンし、高額商品が売れている。マスコミ報道とは違い、市内は美しく、治安はきわめてよく、その多くが仏教徒である市民は礼儀正しく、素朴で驚くほど親切であり、旅行者にとっては申し分のない環境である。もともと文化水準も高く、独自の文化を持ち、周辺国と比較しても国民の識字率も高く、勤勉な国民性である。
【教育】
現在、ミャンマーの最難関大学は、ヤンゴン大学医学部、同コンピュータサイエンス学部、ヤンゴン工科大学である。富裕層の間では教育熱が過熱気味で、塾業界が活況を呈している。一般に富裕層は子弟をインターナショナルスクールに通わせ、欧米の大学へ留学させる傾向にある。英語教育に関しては、小学校1年から始まっており、高校生、大学生は英会話に不自由しない。大学での講義は英語で行われ、レポートも英語である。
【GDP】
農業(34%)、商業(21%)、製造業(16%)で全体の71%を占める。
【輸出】
もともと自然環境に恵まれ、米や豆などの穀物や果実がよく取れ、鉱物資源も豊富で、以前はルビーやヒスイが有名であったが、近年は天然ガスの採掘量が急増している。主な輸出品目は、天然ガス、縫製品、豆や米などの農産物、水産物であるが、天然ガスの輸出額が突出しており、総輸出額の約4割を占める。現在の主な輸出先はタイである。
【エネルギー】
原油、天然ガス、水力、石炭などのエネルギー資源を豊富に持つことで、エネルギーを低コストで供給できる環境にある。
【製造業】
企業内訳では、縫製企業が約30%を占め、その他木材、食品関連企業等。2003年の米国の経済制裁により大きな打撃を受けた縫製業が日本向けを中心に伸びており、製造業部門は今後繊維・縫製業を主体に徐々にその割合を高めていくものと期待される。
【観光業】
伝統的な文化遺産に恵まれる一方自然も変化に富み、北には深雪におおわれた山脈、西と南には自然のままの海外、至るところにエキゾチックで美しい風景が広がる国内と、ここ10年観光客はうなぎのぼりに増えており、将来性の高い事業分野である。
【労働力】
国民性は勤勉で、高い技能を持ち、学習能力にも優れている。ワーカーの緻密性や人柄、働きぶりには定評がある。
【人件費】
近隣諸国に比べてきわめて低く押さえられており、ベトナムの約6割(ベトナムの賃金は中国の約6割)と中国と比較すると労働力の安さが際立っている。
【土地所有】
土地は原則国有地であり、外国企業や外国人による土地の所有は認められていないが、関係省庁から土地の長期リースを受けることができる。企業が進出する場合は工業団地への入居が一般的であるが、リース契約により30年間の土地使用権を取得し、工場・事務所を建設することができる。民間の賃貸借は日本と同様であり、また、近々コンドミニアムの売買(所有)が外国人に認められる法律ができる予定。
【工業団地】
ミャンマーには7つの管区と2つの州に合計32の工業団地があるが、そのうちヤンゴン管区が18ヶ所と最も多く、次いでマンダレー管区が4ヶ所となっている。ダウェー、ティラワなど経済特区において工業団地開発が進行中であり、優遇税制措置が設けられている。
【日本からの支援】
ミャンマー最大の商業都市ヤンゴン市近郊の経済特区にあるティラワ工業団地の開発は日本の4社からなる企業連合が受注。総面積は2,400haに及び、日本政府はティラワ港と工業団地を一体開発することで日本の製造業進出を支援する。さらにJICAが進めるヤンゴン周辺の大規模インフラ整備計画と連動した電力や上下水道、道路の整備のほか、人材育成機関の設立なども盛り込む。円借款再開に向けて、大手商社などはインフラ整備のほか、発電所やセメント工場、肥料プラントの増設・回収事業などへの参画を目指す。
【課題】
急速に変化しているミャンマー情勢では法制度にも絶えず変更が加わり、申請手続き1つとっても提出書類の定型フォーム、提出先、承認機関、手順等について常に細かく確認しておく必要がある。激しく動きつつある現地の最新かつ正確な知識・情報を収集し続けることは必須といえ、さまざまなトラブルやリスクを避けるうえでも現地事情に精通したよきアドバイザーの確保は必要欠くべからざるビジネス要件といえる。この意味でもJETRO、JICAの存在は大きなものがある。
【プラスワン有力候補】
消費市場としてはまだまだだが、若く、安く、豊富な労働力は生産の担い手として期待が高い。昨今の日本企業にはチャイナリスクを避けるためチャイン・プラスワンの動きが顕著であるが、労働者の賃金も中国、タイ、ベトナムと比べ遥かに安く、縫製などの労働集約型産業が中心であることからプラスワンの有力候補国として期待が高い。

東南アジアでは、タイとベトナムなどを幹線道路で結ぶ南部・東西経済回廊の整備が進んでいるが、ミャンマーにおいても隣接する中国の幹線道路整備にあわせた形で高速道路を整備しつつある。2015年、ベトナムのホーチミンからミャンマーのダウェー港に至るメコン南部回廊(カンボジアのプノンペン、タイのバンコク北を経由する幹線道路)が本格開通すれば、東南アジア全域の物流の流れが飛躍的に効率化され、連結性が一段と高まることになる。インドシナのベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、シンガポール、マレーシアにミャンマーを加えた一大経済圏が形成されることになり、製造業ではチャイナ・プラスワンがミャンマーまで延びることになる。東南アジア全体の連結性が高まれば、サプライチェーン強化の観点からも、ASEAN全体のインフラ整備を進めるうえでミャンマーは戦略的にきわめて重要な位置を占めることになる。また海路で一直線にインドと結ばれることで、ミャンマーは世界の工場を担う東南アジアとこれからの発展が期待されるインドを結ぶ重要拠点ともなる。

  • 2011年の民政移管により、経済環境の整備も進み、急速な経済発展が見込まれる
  • 天然ガス、鉱物など豊富な天然資源
  • 約6,000万人の人口を擁し、消費市場として魅力
  • 低賃金で豊富な労働力、生産拠点として魅力
  • ダウェー、ティラワなど経済特区において工業団地開発が進行中で優遇税制措置を受けられる
  • インド・中国の中間に位置する地理的好条件:アジア・ASEANの物流拠点として、また海上交通路の要として重要地域
  • 識字率90%を超える知識水準の高さ
  • 英国統治下時代を経ており、英語圏に属し、ビジネスシーンでの英語による意思疎通が容易
  • 製造業に適した国民性(温和、勤勉、忍耐強い)
  • 治安の良さ
  • 親日的
【NPOミャンマー交流援護会について】
当会設立以来、日本・ミャンマー両国間の人材育成交流支援活動および文化・経済交流支援活動を、両国政府および民間関係者の支援を受けて活発に展開してきた。平成24年7月(過去12年間)までに、当会支援の来日ミャンマー人留学生は467名で、その多くが日本語教育施設・大学・専門学校で学び、また国際業務従事者・専門技術者として活躍中である。また、昨今の日本企業進出の動向に対応して、現地ミャンマー人社員の養成および企業ガイド・コーディネーター等の人材育成が進められているが、今後ミャンマー政府の法整備・インフラ整備等の情報も大切であり、関係諸氏に過誤なく判断・認識できるような現地情報を提供している。
URL:http://www7b.biglobe.ne.jp/~jmsso/
2015/08/06
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